DETARAME THOUGHTS

NO MUSIC NO LIFEな一般男性による音楽雑談

【祝結成11周年!】ロック・ファンにオススメの私立恵比寿中学(エビ中)の楽曲12選

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前置き

ロックファンに受け入れられているアイドルとは?という問いにおそらく大抵の人はBiSHを始めとしたWACK系のアイドルや、PassCodeのような本格的なラウドロックサウンドで魅せるアイドルを思い浮かべるだろう。他にも、WACK系の元祖的存在である初代BiSや、(もはやアイドルではないのでは?という論争は置いといて)世界的な存在となったBABYMETALも挙げられる。これらのグループに共通しているのは、"ロックがサウンドの根本的な部分を担っている"ことだ。音楽性的にも統一感があり、(例外はあれど)曲だけを聴けば女性ヴォーカルのバンドと言われても違和感が無いことが多い。そういう"イメージ通りのアイドル像"とは異なる点で、アイドルに対してネガティブな印象を持っていることが多いロックファンにも受け入れられているのだろう。

 

これらのグループとは正反対に近い世間的なイメージを持たれているのが、今回取り上げる私立恵比寿中学(通称:エビ中)だ。2009年に結成され今年の8月4日で11周年を迎えたベテランだが、イロモノだと思っている人も多いだろう。一番テレビに多く出演していた2015年頃は楽曲にもコメディ要素が多めに入っていた。また、当時在籍していた廣田あいかのアニメ調の地声のインパクトもあり、音楽面ではあまり評価されなかった印象がある。個人的にも当時はイロモノだと思っていた。しかし、2016年後半頃からよりシリアスな楽曲も増え、さらにはメンバーの歌唱力も"進化"と呼べるほど伸びている。今となっては、かつて弱みだったライヴがグループの一番の強みとなっている。その甲斐もあってか、近年ではROCK IN JAPANやCOUNTDOWN JAPANなどのロックフェスにも呼ばれている。

 

ただ、やはりかつてのイメージのままで止まっている音楽リスナーもまだ多い。そこで、彼女たちの楽曲の中から、"ロック・ファン向け"のものを(独断と偏見で)紹介したいと思う!

 

"アイドル"ならではのロック・スピリッツ

大まかに言うと彼女たちは"正統派なアイドル"に分類されるだろう。かわいい系の衣装を纏い、キャッチーな曲を歌って踊るのが根底にある。WACK系などと違い、別にロック側にパフォーマンスのスタイルやノリを極端に寄せようとはしていない。だからこそ、楽曲やパフォーマンスから滲み出る"ロック・スピリッツ"のインパクトが凄い。

今回取り上げる楽曲はどれも割りとアップテンポなロックだ。そういった楽曲こそがロック・ファンに良い第一印象を与えると思っているので、(たとえロックであっても)バラードやゆったり目の曲は除外している。また、カヴァー曲も今回は除外している。(今回取り上げる曲以外にもロック・ファンに刺さりそうなものがあるが、多すぎてもあれなので選んでいない)

 

オススメ楽曲 

HOT UP!!!(2017年)
HOT UP!!!

HOT UP!!!

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HOT UP!!!(Live)

HOT UP!!!(Live)

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Jose(TOTALFAT)が提供したメロディック・ハードコア・チューン。演奏もTOTALFATによるもの。サビにおける安本彩花のハモり、そしてブレイクにおける廣田あいかのドスの利いたラップ的なパート(現在は柏木ひなたが担当)が特にかっこいい。演奏面でもギターがところどころメタル的なザクザク感を聴かせてくれるのがたまらない。

 

君のままで(2017年)
君のままで

君のままで

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君のままで(Live)

君のままで(Live)

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安本彩花の声質の良さを存分に引き出した、"エモい"という言葉がこれでもかと似合う曲。ライヴではより感情の込もった安本の歌唱が聴けるうえ、フェイクも披露するのでかっこよさが倍増する。

 

ゼッテーアナーキー(2016年)
ゼッテーアナーキー

ゼッテーアナーキー

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ゼッテーアナーキー(Live)

ゼッテーアナーキー(Live)

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ユニコーンABEDON提供の、良い意味で中身があまり無い、シンプルなパンク曲。 頭を空っぽにして楽しめる。サビのメロディーが力強いため、シリアスさの無い曲でも不思議と力が湧いてくる。

 

PANDORA(2019年)
PANDORA

PANDORA

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Pay money To my PainのPABLO作曲のラウドロック・チューン。全体的にテンポが早く、歌も早口。星名美怜のハイトーン・ボイスが前面にフィーチャーされていて、途中ではエビ中史上最高音のパートが登場する。テンポ感や星名の声の高さから、昔のBABYMETALを思い出す人もいるかもしれない。

 

放課後ゲタ箱ロッケンロールMX(2012年)

初期からライヴで披露され続けてきた代表曲。歌詞は非常にコミカルだが、曲調は完全にスピード・メタル。メンバーの気迫が桁違いなので、こちらは断然ライヴ版の方がおすすめ。配信はされていないが、昨年末に開催された生バンド編成でのワンマンを収録したライヴ・アルバムに収録されているバージョンが特に素晴らしい。当時療養中だった安本彩花が居ないという欠点はあるが、残りのメンバー5人のパフォーマンスが非常に力強いうえ、ほぼ全編を通して"どこのメタル・バンドだよ"とツッコミたくなるくらいツーバスの連打が鳴り響いているのがたまらない。

www.sonymusicshop.jp

 

紅の詩(2017年)
紅の詩

紅の詩

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紅の詩(Live)

紅の詩(Live)

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JUDY AND MARYのTAKUYAが作詞作曲した曲。ノリの良さ、可愛らしさ、歌唱のパワフルさのバランスが絶妙。歌詞の言葉遊びが秀逸。Sex Pistolsの「Anarchy In The U.K.」へのオマージュも良い。柏木ひなたの歌唱力が楽曲を力強く牽引している。特に↑の"ちゅうおん"でのライヴ・テイクには呆気にとられる。

 

CHAN-CHARA-CHAN(2016年)
CHAN-CHARA-CHAN

CHAN-CHARA-CHAN

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CHAN-CHARA-CHAN(Live)

CHAN-CHARA-CHAN(Live)

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メロコアにロックンロールを組み合わせたような曲。キャッチーで耳に残るサビがまず印象に残る。個人的には中間部分に登場する哀愁を感じるスローパートがあるおかげで後半の盛り上がり具合が倍増していると思う。

 

日進月歩(2019年)*ライヴ初披露は2017年
日進月歩

日進月歩

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「君のままで」ほどギター中心のサウンドではないが、近い雰囲気のエモい曲。全体的にストリングスやシンセを活用して創り上げてられている壮大な雰囲気に引き込まれる。こちらもサビが特に素晴らしい。

 

シンガロン・シンガソン(2017年)

Mrs. GREEN APPLE大森元貴が作詞作曲を手掛けた曲。廣田あいかの転校(脱退)前のラスト・シングルで、歌詞も別れを想起させるものとなっている(実際には廣田の転校のこと知らずに書いた歌詞らしい)が、曲調も相まって"前に進む"ことを強く意識させられる。アルバム『MUSiC』に収録された際に現メンバー6人で再録されている。

 

朝顔(2018年)
朝顔

朝顔

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朝顔(Live)

朝顔(Live)

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ブラスが入っていることでスカ・パンク的な質感もあるポップな曲。近年の他の楽曲にも言えるが、歌唱がパワフルなので、いい意味でポップさがクドくない。こちらも全体的にエモい曲。

 

大人はわかってくれない(2012年)

メジャー初期の曲の中ではおそらく一番シリアスな内容の曲。大人への反抗という若者が歌ってこその内容の歌詞がパンクな曲調に絶妙にマッチしている。こちらも古い曲なので、正直最近のライヴ映像/音源を視聴した後だと、歌唱力面でスタジオ音源が物足りなく感じてしまう。ただ、かっこいい曲なのは間違いない。

 

イート・ザ・大目玉(2018年)
イート・ザ・大目玉

イート・ザ・大目玉

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パンク+ハードロックと形容したくなるような、骨太な演奏がカッコいい曲。どのパートでもメンバーが二人一組で歌っているのが特徴的で、彼女たちの声の重なりがとても心地よい。野外フェスがめちゃくちゃ似合いそうな曲。演奏陣も豪華で、作曲も担当した溝口和紀(Gt/ex-ヌンチャク)、明希(Ba/シド)、有松益男(Dr/BACK DROP BOMB、ex-KEMURI)というロック・シーンの中でも多種多様な経歴のミュージシャンが参加している。

 

 

後書き 

今回はエビ中のロックな楽曲を取り上げたが、彼女たちのレパートリーにはアイドルポップスからEDM的な曲、メタル、パンク、R&Bポップロックラウドロック、ピアノバラード、シューゲイザーなど、さまざまなスタイルの楽曲が含まれている。彼女たちの音楽にはジャンル的な統一性は無く、人によっては雑多に感じるかもしれないが、同じアーティストを聴いているだけで、普段聴かないジャンルをにも触れることができるのは大きな利点だと思う(これはベテランV系ロック・バンドMUCCにも通じる要素)。例えば、作曲者がエビ中以外にどんな音楽を演っているかを掘り下げてみると、新たなお気に入り曲やアーティストと出会えるかもしれない。

 

今回紹介した曲を入口にエビ中の沼へ、そして彼女たちを入口に新たな音楽的な出会いを是非体験してみてはいかがだろうか?

 

紹介曲のプレイリスト