DETARAME THOUGHTS

NO MUSIC NO LIFEな一般男性による音楽雑談

隠れた名盤の宝庫!初期V系スラッシュメタル・バンド6組を紹介

日本のメタルファンのV系に対する偏見は今となっては減りつつあります。ただ、個人的にはV系という言葉ができる前〜できるあたりの"V系黎明期"に活動していた、ジャパメタの延長線上のバンドは何かと忘れられている印象があります。V系界隈の中ではメタラーに一番ストレートに刺さるであろうサウンドを奏でていたバンド達ですが、その見た目や出自によって避けられてしまっているのがもどかしい。。。そこで、今回は初期V系シーンで活躍したスラッシュ・メタル・バンドを6組紹介します!

※主観メインですが、各アーティストの中で1枚"名盤"を選び、☆をつけています。
※※オススメ・アルバムはどれも"スラッシュメタル"的観点でオススメという意味で、紹介していないアルバムにも名盤はあります。

 

 

AION 

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左:1991年頃のアー写 右:2015年のアー写アー写というかコラージュというか。。。)

活動期間:1983-1985、1986-2017

関西メタルシーンからデビューしたバンド。インディーズ〜メジャー初期はスラッシュ・メタルで、そこから徐々にパワー・メタル路線になる。その後インディーズに戻り、メンバー脱退を理由に”リズム隊の音が打ち込み”という形でアルバムを複数枚リリース(ジャンル的にはスラッシュ系だが、音が悪い。。。)。2000年にメンバーが復帰するが、音質の悪さは変わらず。ドラムの脱退を経て、2012年に”音が悪い時代”の楽曲をセルフカバーしたアルバムをリリース(こちらは普通にかっこいい)。2017年にギターのIZUMI以外のメンバーが全員脱退し、実質的に解散状態。スラッシュ時代のサウンドとしては、現在VOLCANOで活動するヴォーカルのNOVによる独特な感性の日本語詞がザクザクとしたスラッシュサウンドに絡む感じに不思議な魅力がある。(特に『AIONISM』というアルバムでの)NOVの歌詞は正直かなりダ○いものが多いが、歌メロと演奏は非常にかっこいい。何より、激しさとメロディアスさが合わさったNOVの歌唱は本当にすごい!

 

オススメアルバム:

『HUMAN GRIEFMAN』(1990) ☆

MA-G-MA』(1990)

『AIONISM』(1991)

『AION』(1992) ※パワー・メタル路線

『NINE BELLS』(2012) ※セルフカバーベスト

 

Aion - Think Ever After ※『HUMAN GRIEFMAN』収録曲

 

TOKYO YANKEES

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左:1991年頃のアー写 右:最新アー写

活動期間:1988-現在

X JAPANYOSHIKI氏が設立した有名インディーズレーベル、EXTASY出身のバンド。メンバーも元々Xのローディー等をやっていた。90年代半ばくらいまでは名前通り、ヤンキーや暴走族的ファッションにV系ファッションを組み合わせた見た目だった。2000年代以降は普通のおじさんロッカー。音楽性としてはMOTORHEADをさらにスラッシュ寄りにした骨太なサウンドが特徴的で、どこかロックンロール的な質感も感じられる。後期はハードコアの要素も取り入れている。彼らを一言で表すなら"和製MOTORHEAD"。ヴォーカルのUMEはメロディーのあまりない低いガナリ声がメインだが、音楽性に合っていてかっこいい。2007年にUMEが急逝して以降、残ったメンバーで活動を続けている(ヴォーカルはギターのNORIとベースのYOSHINUMAが兼任)。個人的に残念だと思うのは、3人編成になって以降、新たな音源は2010年にWE ROCK誌の付録CDに収録された「So What」という1曲のみで、ライヴ以外の活動をする気配が無い点。正直新曲が聴きたい。。。

 

オススメアルバム(少ないので全部):

『Do the DIRTY』(1991)

『Overdoing』(1992) ☆

『Ghostrider』(1993)

『Vacate Your Useless Brain』(1994)

『Pre-Emptive Strike』(2003)

『777』(2004)

 

Tokyo Yankees - Devil ※『Overdoing』収録曲

 

ROSENFELD

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左:1991年頃のアー写 右:近年

活動期間:1986-1988、1990-1993、2008-現在

80年代後半のジャパメタシーン〜90年代末のV系シーンにおいてある種の”定番”的表現としてナチスの要素を音楽性や衣装に取り入れることが流行っていた(インターネットの普及やグローバル化が進み、当然この流行りは廃れたが、LUNA SEADIR EN GREYのメンバーもナチスの腕章をつけていた時期がある)。ROSENFELDもがっつりその系統で、曲のテーマとバンドのイメージがナチス要素だらけ。もちろん人を驚かせるという意味でやっているわけだが、当時しかできない表現なのは確か。音楽性としては、スクリームに近いHISAYOSHI(ex-AION)の荒々しいヴォーカルが凶暴でハイテンションな楽曲を牽引する形。1枚のスタジオ・アルバム(名盤だが音質がめちゃくちゃ悪い)と1枚のライヴ・アルバム(スタジオ盤より音質がいい)を残し1993年に解散。2008年に一部メンバーを入れ替えて再結成し、ライヴ活動を現在まで続けている。新作を作る気は無いと思われる。

 

オススメアルバム(少ないので全部):

Pigs of the Empire』(1991) ☆

『…In The Garden』(1993) ※ライヴ・アルバム

 

ROSENFELD - ASHES TO ASHES ※オムニバスアルバム収録曲

 

 

YOUTHQUAKE

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左:初期(90年代前半) 右:最終アー写

活動期間:1990-2013

TOKYO YANKEESの初代ヴォーカルHIYORIによって結成。ROSENFELDと同じSkullcrusherからインディーズデビューした後、EXSTASYに移籍。初期はスラッシュをベースとした音楽性だったが、メンバーチェンジもあり2000年代に入るとデスメタル的なサウンドへと舵を切る。2006年にHIYORIが脱退して以降はベースのAKIRA(現VOLCANO/THOUSAND EYES)がヴォーカルを兼任する形になる。AKIRAを中心人物とし、メンバーチェンジを繰り返しつつ精力的に活動していくが、2013年に解散。スラッシュ時代に関してはHIYORIの独特な声が癖になると思う。

 

オススメアルバム:

QUAKE DOPE』(1993)

『YOUTH…MINE AND THE TRUTH』(1994) ☆

『YOUTHQUAKE』(1996)

『APOCALYPSE』(2001) ※デス+スラッシュの名盤

 

YOUTHQUAKE - TAKE BACK TRUTH ※『YOUTH…MINE AND THE TRUTH』収録曲

 

 

THREAD WORM

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1995年

活動期間:1992-1996

ROSENFELDと同じSkull Crusherからインディーズデビュー。音楽性もROSENFELDにかなり近いが、彼らほどエクストリームでは無い。唯一の正式リリースのアルバムもROSENFELDと比べて音質がだいぶ良くなっている。活動期間が短い故に情報が少ないが、音源は聴く価値あり!

 

オススメアルバム(そもそも1枚しか無い):

『Parasitism』(1995) ☆

 

Thread Worm - D.I.E.

 

 

Gargoyle 

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左:初期(90年代前半) 右:2018年

活動期間:1987-現在

今回のテーマ的に取り上げるべきか悩んだが、以前ミュージャックという番組のV系特集にヴォーカルのKIBAが出演していたので、まぁV系という扱いでいいのだろう。和をモチーフとした出で立ちでデビュー時は”天草四郎メタル”とも呼ばれていた。今回取り上げているバンドの中で唯一ちゃんとした形で活動を続けているバンド(音源制作も怠らないという意味で)。音楽性も和やどこかシュールなモチーフを取り入れた歌詞を正統派なスラッシュメタルに載せていて、そこにプログレやハードコア、ファンクなどのジャンルの要素も取り入れている。特に初期の屍忌蛇 (Gt/現VOLCANO)が在籍していた作品はクオリティーが高い。残念ながら2018年にKIBA以外のメンバーが全員脱退してしまい、長年のメンツが崩れたが、サポートメンバーを迎え、”UNDER GARGOYLE”名義でライヴ活動を続けている。KIBAのヴォーカルがかなり癖が強いので人を選ぶかも知れないが、非常にユニークな音楽性なのでハマると沼なのは間違いなし!

 

オススメアルバム:

『檄』(1990)

『天論』(1993) ☆

『月の棘』(1994)

『future drug』(2001)

『解識』(2014)

 

Gargoyle - 雨ニモ負ケズ ※『天論』収録曲

 

 

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自分もめちゃくちゃ詳しいわけじゃないですが、他にもこういうメタルな音楽性の90年代V系バンドは絶対いたと思います。今後もメタルに限らず、こういう形のアーティスト紹介、もしくは特定のアーティストを掘り下げるタイプの記事ををちょくちょくやっていきたいと思ってます!