DETARAME THOUGHTS

NO MUSIC NO LIFEな一般男性による音楽雑談

2020年 上半期ベスト20(アルバム・ミニアルバム編)

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楽曲編はこちら

 

今年は音楽業界にとって大きすぎる試練の年となっている。今まで通りのライヴが開催できない中、いかに既存のファンを繋ぎ止め、新規ファンを獲得し続けるか。ジャンルを問わず、ステージに立つほとんどの人々が悩んでいる最中だと思う。音楽ファンとしても、行く予定だったライヴがすべて中止になり、正直気も滅入ってしまう。ただ、個人的にはこの自粛期間中に音楽と新たな気持で向き合えたと思う。たまたまバッチリタイミングが合ったが、ちょうどステイホームが促され始めた直前にサブスクデビューした。おかげで今までと比べ物にならないほど新たなアーティストとの出会いが続いている。もし去年や一昨年の段階でこのブログをやっていたら、"上半期" "下半期"にそれぞれベストをまとめる記事は書けていないと思う。アンテナの張り方の影響で、年によっては年間を決めるのすら難しかったはず(候補作品が少なすぎて)。今年は上半期だけで20枚。下半期も楽しみだ。

 

 

20位:Poppy『I Disagree』 

I Disagree

I Disagree

  • アーティスト:Poppy
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: CD
 

物凄く雑に一言で紹介すると"アメリカ発の闇堕ちしたBABYMETAL"。欧米の感性でBABYMETALの音楽性を咀嚼し、独自の狂気を感じるような世界観や過剰にも感じられるポップセンスを加えている。

一見すると歌詞もオーバーにポップに感じるかもしれないが、掘り下げるとかなりシリアス。そのギャップがたまらない。

 

19位:MAKE MY DAY『Mind Haven』

Mind Haven

Mind Haven

  • アーティスト:MAKE MY DAY
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: CD
 

このバンドは安定のクオリティーで良質なメタルコアを奏でてくれる。真新しさはあまり感じないが、相変わらず強烈なIsamのスクリームと、キャッチーなJulianのクリーンのバランスが癖になる。ゲストをフィーチャリングした2曲と、タイトル曲が特にかっこいい。

 

18位:ROA『EMOLUTION』

EMOLUTION

EMOLUTION

  • 発売日: 2020/04/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

ギターの殿がROACHに加入し、両バンドを兼任することになったのがきっかけで知ったバンド。ヴォーカリストの声がどうも少し細い気がしなくもないが、ラウドなバンドサウンドに三味線が絡むと文句なしにテンションが上がる。

 

17位:Aldious『Evoke 2010-2020』

Evoke 2010-2020

Evoke 2010-2020

  • アーティスト:Aldious
  • 発売日: 2020/03/27
  • メディア: CD
 

3代目ヴォーカリストR!N加入後初の音源であるセルフカバー・アルバム(新曲も1曲収録)。前任2人のちょうど間にいるような声質のR!Nの歌唱はかなり聴きやすいのが特徴。まだ若いので、まだまだ伸びしろがあることも踏まえて今後への期待が上がる作品。個人的にはこれらの楽曲たちが"同じヴォーカリストの声"で聴けるのが嬉しい。

 

16位:SiM『THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES』

"THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES"(初回限定盤)(2CD)

"THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES"(初回限定盤)(2CD)

  • アーティスト:SiM
  • 発売日: 2020/06/17
  • メディア: CD
 

なんと4年ぶりのアルバム。今までの彼らのアルバムだと、曲単位ではかっこよくても、全体としての"まとまり"が個人的にはあまり感じられなかった。本作ではだいぶそれが改善されている。好みの問題もあるが、シンプルに彼らの作曲センスや演奏力が伸びてきたというのもあるのだろう。全体的なクオリティーを考えると"アルバム"としては最高傑作だと思う。

 

15位:THE NOVEMBERS『At The Beginning』

At The Beginning

At The Beginning

  • アーティスト:THE NOVEMBERS
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: CD
 

名前はだいぶ前から知っていたが、自粛期間中にサブスクきっかけで初めて曲を聴いたバンド。インダストリアル、シューゲイザーアンビエントなどがごった煮になっているが、このバンドにしか出せない世界観に昇華されている。クールで気怠げであり、BUCK-TICKDIR EN GREY辺りのバンドに通ずる空気感も感じられて面白い。いい出会いができた。

 

14位:赤い公園『THE PARK』

THE PARK (初回生産限定盤) (特典なし)

THE PARK (初回生産限定盤) (特典なし)

  • アーティスト:赤い公園
  • 発売日: 2020/04/15
  • メディア: CD
 

こちらも以前から気になっていてサブスクきっかけで触れてみたバンド。前任ヴォーカルが脱退して、元アイドルネッサンス石野理子が加入していたことは話題性的に知っていたが、ここまで上手い人だとは。。。過去の音源と比べると歌い手の特性上だいぶ本作は"毒が抜けた"作風だと思う。まだまだこれからのヴォーカリストなので、今後過去作のような毒も表現できるようになることを期待している。

 

13位:Crossfaith『SPECIES EP』  

SPECIES EP(通常盤)(DVD付)

SPECIES EP(通常盤)(DVD付)

  • アーティスト:Crossfaith
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: CD
 

安定してエレクトロとメタルコアをかけ合わせたサウンドを展開していている彼ら。最近は徐々にロック寄りな要素が増えたり、なんとなくキャッチーさが強まってきた印象があるが、本作はEPということもあり、そういった要素を継承しつつコンパクトなボリュームとなっていて、久しぶりに一番にアグレッシヴさが全面に出ている。 

 

12位:SCANDAL『Kiss from the darkness』 

Kiss from the darkness(初回限定盤A)

Kiss from the darkness(初回限定盤A)

  • アーティスト:SCANDAL
  • 発売日: 2020/02/12
  • メディア: CD
 

前作ではガレージ・ロック的な方向性に舵を切りつつあったが、本作では"ハードな部分はよりハードに"しつつ、そこに電子音だったり、ポップス要素を強めたサウンドを加えている。2016年の『YELLOW』から楽曲の作詞作曲を完全に自分たちで手掛けるようになったが、誤解を恐れずに言うとここに来てやっと"バンドらしく"なってきたと思う。久しぶりにTOMOMIのヴォーカルがかなりフィーチャーされているのも良い。

 

11位:Code Orange『Underneath』 

Underneath

Underneath

  • アーティスト:Code Orange
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: CD
 

今年のヘヴィ・ミュージック・シーンの話題を掻っ攫う勢いの彼ら。個人的には雑誌"ヘドバン"が猛プッシュしていたことがきっかけで聴いてみたのだが、ぶったまげた。激烈にヘヴィだが、所謂メタルコア的なパターンからは脱却していて、禁じ手とも言えるような電子音やグリッチエフェクトの多様。まったく一般受けするようなサウンドじゃないのに、不思議と耳に残る楽曲群。2020年代を象徴するアルバムというポジションになると思う。

 

10位:NAZARE『NEMOPHILA』

NEMOPHILA [初回限定盤]

NEMOPHILA [初回限定盤]

  • アーティスト:NAZARE
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: CD
 

DIMLIMの元ドラマー壱世が結成したバンドということは知っていたが、なぜかスルーしていたバンド。自粛期間中は時間があったので、ちょうどリリースされた本作を聴いてみた結果、なぜ今まで聴いてなかったのか後悔しまくり。基本的にはメタルコアを軸とした近年のV系ラウドの系譜だが、独特な美しさが旋律にあり、世界観に引き込まれる。過去の音源もチェックしたいと思わせてくれるアルバム。

*配信版は限られた楽曲のみ

 

9位:Paledusk『HAPPY TALK

HAPPY TALK

HAPPY TALK

  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

福岡出身のメタルコアバンド。名前はかろうじて知っていたが、こちらもサブスクで初めて聴くことに。電子音をふんだんに取り入れているが、サウンドに自然に練り込まれていて、いい意味で電子音が目立っているような感じではない。実際に使っている電子音はCode OrangeやBring Me The Horizonなどの洋楽ラウドや、トランスやトラップ的な海外のヒップホップにも通ずるもの。メタルコアサウンドにヒップホップスタイルのヴォーカルを取り入れている部分もあるが、チャラい感じにはならず、いわゆる典型的なミクスチャーとは違う仕上がりになっている。また、シンガロングやブレイクダウンもオーバーじゃないので、いい意味でジャンルのクリシェをあまり感じない。全体的に新しいヘヴィさを感じる1枚。

 

8位:OUTRAGE『Run Riot』 

RUN RIOT ~Deluxe Edition(初回限定盤)(DVD付)

RUN RIOT ~Deluxe Edition(初回限定盤)(DVD付)

 

前作がキャリアを通しても上位に入るレベルのアグレッシヴなスラッシュ・メタル・アルバムだったのに対して、本作はいい意味で"余裕"や"遊び心"を感じる。スラッシュ・メタルはもちろん、ロックンロールやスピード・メタル的な曲も入っていて、ベテランながらジャンルに縛られない姿勢が伺える。橋本直樹のヴォーカルが年々パワフルになっているのが凄い。

 

7位:Suicide Silence『Become The Hunter』

Become The Hunter

Become The Hunter

  • アーティスト:Suicide Silence
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: CD
 

典型的なデスコア・サウンドからの脱却を図り、ニュー・メタル的なサウンドで実験し、結果的に歴史的駄作となってしまった前作『Suicide Silence』(2017年)から早3年。彼らもあまりのファンの反発に動じたのか、本作はガッツリとデスコアサウンドに回帰している。Eddieのスクリームの切れ味が半端じゃないし、やはり彼らはこうでないと。ただ、前作での実験が功を奏したのか、本作ではニュー・メタル的な不協和音の怪しいクリーン・ギターや、ズッシリしたスローテンポのパートが"効果的な形で"導入されている。あの駄作も無駄じゃなかったのだ。

 

6位:Survive Said The Prophet『Inside Your Head』 

Inside Your Head(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

Inside Your Head(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

 

昨年末に公開された「Bridges」のMVをたまたま観てハマったバンド。一応大まかなくくりとしてはラウド系の界隈の一部という扱いを受けているみたいだが、個人的には"たまにヘヴィな曲も書くロック・バンド"という印象。Yoshのネイティヴ・レベルな英語は間違いなく武器だが、本作は言語に関係なくシンプルにキャッチーさとオシャレさ、そしてアグレッシヴさのバランスが魅力だと思う。ヘヴィな曲がそこまで多くないバンドだからこそ、「Calm:Unison」のような曲の破壊力が何倍も強く感じる。

 

5位:私立恵比寿中学『バンドのみんなと大学芸会2019 エビ中のフルバッテリー・サラウンド』 

www.sonymusicshop.jp

昨年末に生バンドを迎えて開催された大型ライヴをフルで収録したライヴ・アルバム。彼女たちの歌唱力と表現力はアイドル界ではトップクラス、音楽業界全体でも上手い部類に入ると思うが、本作のように"映像なし"で"音声のみ"という形でライヴを商品化できることがそれを証明していると思う。生バンドと披露しているため、ロックな曲はシンプルに元の音源より迫力が増しているし、もともとオケが打ち込みだった曲は完全に"進化"と呼ぶのがふさわしいくらい変化している。特に初期の曲は彼女たちの歌唱力の向上も相まって、"原曲だと物足りない"とすら思わせてくれる。残念ながら安本彩花はこのライヴが開催された時期にまだ活動を休止していたため不参加だが(「HISTORY」には事前に新たに録った歌声で参加)、それでも圧倒的なパフォーマンスを聴かせてくれる。中盤のバラード・コーナーでの「星の数え方」の美しさには言葉を失う。

 

4位:DIMLIM『MISC.』 

MISC.

MISC.

  • アーティスト:DIMLIM
  • 発売日: 2020/01/27
  • メディア: CD
 

もともとDEVILOOFやNAZAREと並んでV系ラウドの若手バンドの代表格だったが、本作では大胆にヘヴィさをほぼ完全に排除し、マスロック的なサウンドに変貌している。そもそもマスロックの要素は過去の曲にも感じられたし、ヘヴィネス期で培った大胆でキャッチーなアレンジ能力がこれでもかと活かされているので、この変化は大成功だと思う。また、ドラムのフレーズにちょくちょくメタルコア的なものがあるのが個人的にニヤリとした。過去を捨てたのではなく、進化したのだと感じさせ、今後に大きく期待させる1枚となっている。

 

3位:lynch.ULTIMA

ULTIMA(初回限定盤)

ULTIMA(初回限定盤)

  • アーティスト:lynch.
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: CD
 

安定して一定のクオリティーで美しいヘヴィネスを提供してくれるlynch.。本作も大きな変化は無いが、ところどころにさり気なく新しさを感じる部分があり、サウンドが"洗練された"印象を受ける。

詳しい感想はこちらのレビューを参照:

detaramesounds.hatenablog.com

 

2位:摩天楼オペラ『Chronos』

Chronos【初回限定盤(CD2枚組)】

Chronos【初回限定盤(CD2枚組)】

 

去年ようやく再びメンバーが安定した摩天楼オペラ。昨年発表したアルバムでも感じられたが、本作では"摩天楼オペラ"としてのサウンドに、新たに加入したJaYと響のルーツを積極的に取り入れている。メロスピが中心だった彼らの曲にブレイクダウンが入る日が来るとは思わなかったが、これがまたいい。モダンなサウンドメロスピ的なヴォーカルやキーボードが合わさり面白い化学反応を起こしている。ミニアルバムなのですんなり聴けるのも良い。

 

1位:MUCC『惡』 

惡 [初回生産限定盤]

惡 [初回生産限定盤]

  • アーティスト:MUCC
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: CD
 

通算15枚目でこんなに完成度が高く、"新しさ"を感じさせる傑作を創り出せるのは本当に凄いと思う。バンド初のアルバムウィークリーチャートトップ10入りも納得。まだ下半期に入ったばかりなのにこんなことを言うのは憚れるが、正直本作が2020年のベストアルバムだと思う。バンドの歴史を総括するだけでなく、新境地と呼べるような楽曲が収録されているので、既存ファンは当然、ラウドやメタル系の音楽ファン、そして初期のMUCCが好きで近年離れていた元ファンにも手にとってほしい1枚。

言いたいことはすべてこちらのレビューに書いているので、ぜひチェックしていただきたい。

detaramesounds.hatenablog.com

 

 

番外編:私立恵比寿中学『playlist』 

playlist(初回生産限定盤A)(Blu-ray Disc付)(特典なし)

playlist(初回生産限定盤A)(Blu-ray Disc付)(特典なし)

 

昨年12月リリースなので、ランキングからは除外したが、個人的にこのアルバムをきっかけにFCに入会するほどにエビ中にのめり込んだのは全部今年に入ってからのこと。自分がいわゆる"メジャー・アイドル"に対して持っていた"無個性で生歌が下手"という偏見をぶち壊してくれたこのアルバムは、びっくりするほど"アイドル感"が無い。言われなければアイドルの曲だと思わないし、エビ中の曲だとも思わない。グループ名や何年も前に「金八DANCE MUSIC」でMステに出演した際のイメージで敬遠する人もいるだろうが、ここで聴けるのは紛れもなく最高のクオリティーのポップスだ。実際は彼女たちは2016年辺りを境に歌唱力を着々と伸ばしていて、楽曲もシリアスなものが増えている。本作は"イロモノのアイドル"ではなく"アーティスト"としての私立恵比寿中学への入口になり得る名作だ。後はバズるきっかけさえあれば。。。

 

 

まとめ 

1. MUCC『惡』
2. 摩天楼オペラ『Chronos』
3. lynch.ULTIMA
4. DIMLIM『MISC.』
5. 私立恵比寿中学『バンドのみんなと大学芸会2019 エビ中のフルバッテリー・サラウンド』
6. Survive Said The Prophet『Inside Your Head』
7. Suicide Silence『Become The Hunter』
8. OUTRAGE『Run Riot』
9. Paledusk『HAPPY TALK
10. NAZARE『NEMOPHILA』
11. Code Orange『Underneath』
12. Scandal『Kiss from the darkness
13. Crossfaith『SPECIES EP』
14. 赤い公園『THE PARK』
15. THE NOVEMBERS『At The Beginning』
16. SiM『THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES』
17. Aldious『Evoke 2010-2020』
18. ROA『EMOLUTION』
19. MAKE MY DAY『Mind Haven』
20. Poppy『I Disagree』

番外編 - 私立恵比寿中学『playlist』